日々是々日記 原智彦の「手前味噌」

お芝居のこと、お祭りのこと、大須のこと、日々思う事をポツリポツリと書かせていただきます。
[130]命のしずく
0
    先回書いた「木の涙」、一週間後見に来た。
    予想を裏切ってポタ…ポタ…と滲み出ていた。
    先回のごとくポタポタポタポタと溢れ出る勢いは無いが、
    一滴一滴、ぷくーっと膨らんでは放れ落ちる。
    滲み出るところには温泉の湯口にある「湯の花」みたいな白いヨーグルト状のものが沈殿している。

    木から湧き出る「木の花」。

    舐めてみた。
    無色ながらほのかな甘みが残る。
    葉の形からどうやら楓らしい。

    この一週間でバケツ何杯になっただろう。
    木って大地の水を汲み上げ天に撒き散らすポンプみたいだな。
    また来週見に来よ。

    先週つぼみだった私の大好きな山つつじが満開に咲いていた。
    いっきに春めいた陽気、体もゆるくなるのが分かる。
    | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 08:25 | comments(0) | - | - |
    [131]前へ前へ…。
    0
      3月に入り三寒四温。
      ユルクなったりキツくなっったりを繰り返す寒さ。
      「オッ、今日は気持ち良いな。」
      明るい陽光が肌に暖かい。
      いつもの東山歩き。
      日陰の濡れた歩道の上にカタツムリ発見。



      大きな渦巻きの殻を左右にフリフリ進む。
      発見できてよかった。
      危うく踏んでしまうかもしれなかった。
      カタツムリは冬眠するかどうか知らないが、
      緩んだ寒さに乗じて明るい世間に顔出したって感じ。
      左右に殻をふりながらニジリ進むは私のパフォーマンス「HAIKAI」と同じ。
      しばし見とれていた。
      今年はたぶんアチコチで「HAIKAI」するであろう私の姿と重なる。
      カタツムリの後ずさりは見たことがない。
      もしカタツムリが直進しかできなかったら、元の場所に戻るのに地球を一周せねばならぬ。
      なのにこのスピード。
      「大物だなぁ、カタツムリは。」と羨ましげに呟いて後にする。

      少し先に新しい緑の草にボトッと椿の花。



      そばにちっちゃな黄のタンポポ。
      また足が止まる。
      知らぬ間に時は進む。
      ユルクなったりキツくなったり、生あるもの前へ前へと…。

      今日は嬉しい出会いが二個あった。
      春だなぁ…。

      ※「HAIKAI」とhあ徘徊と俳諧の合わせ語でアチコチでハプニング的に行う身体行事。
      私20年前より続けているパフォーマンスです。
      | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 08:14 | comments(0) | - | - |
      [129]「橋の下歌舞伎」誕生
      0
        「橋の下歌舞伎」誕生。
        「念願の」というより「やっぱり」と言ったほうがピタッとくる。
        随分と色々な場所で芝居を演ってきた。
        森の中、田んぼ、屋根の上、民家の中庭、農村歌舞伎の小屋、ストリップ小屋、
        スーパーの駐車場、競艇場、浜辺で海をバックに…きりがない。
        もちろん普通の劇場でもやる。

        私の芝居作りの流儀は、第一に「演る場の力」を大切にすること。
        客と演者が一体となって「ミコシ」を担ぐ。
        この楽しさこそ、演劇のメインディッシュなのだ。
        小屋の持つ力は本当に大切である。

        私の40年の芝居歴で20年続けた「大須師走歌舞伎」。
        大須演芸場を江戸の歌舞伎小屋に大変身させ、赤提灯に桟敷席、飲食自由の気楽な見物。
        まさに客席舞台一体となった祝祭劇の祭り場だった。
        20年間続けられたのは、楽しく気楽に芝居見物できる小屋を演出した事が大きいと思う。
        芝居見学ではなく、客が主役の「見物」できる場の力なのだ。

        歌舞伎は1603年、出雲大社の巫女、阿国の歌舞伎踊りで始まり、400年続いてきた。
        それがどういうわけか、歌舞伎を始めて40年の私が今年の5月、
        「橋の下世界音楽祭」の前祭として、一夜城ならぬ一夜芝居小屋「矢作座」を作り歌舞伎芝居ができる。
        何もない豊田大橋の下に400年続く傾く(かぶく)精神そのままの「橋の下歌舞伎」が誕生。
        というより、ようやく戻ってきたのかもしれない。
        400年前、京の河原で生まれた歌と舞と技が400年後新しい形で生まれる。
        なんにしても、何もない処から何かが生まれる。
        メデタシ、メデタシ。
        | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 08:53 | comments(0) | - | - |
        [128]木の涙
        0
          スゴイものに出会った。
          木が泣いている。
          一、二月は歩道脇の林の枝払いや、老木が強風で倒れる前に切り倒す作業が多い。
          その木は道端の電線にかかるので切られたとみえる。
          地上より1m位のところでY字になっている片方を丸ごとズドンと袈裟斬り。
          傷口は手厚くプラスチック樹脂で覆われている。

           

          なんとその樹脂と切り口の隙間から大量の水がn上がれ落ちているのだ。



          「エ、ナニコレ。」目を疑った。
          遠目に木肌が濡れ光っていたのが、近づくと大量に水が溢れ出ているのだ。

          半端なく大量、ボタボタボタボタ…。
          一秒に一滴くらい。
          緑の苔むした岩肌より一滴一滴湧きてるよう。
          氷河の末で一滴一滴溶け滴るように木肌を濡らし流れ落ちる。
          最初木が泣いていると思ったが、
          間近に寄ってポタポタの音を聞き余りにキレイな水玉と樹皮のからみ合いに見とれているうち、
          センチメンタルな悲しみの涙でなく、たくましく生きる歓喜の涙の様に思えた。
          天然力はスゴイ。
          とどめなく大地から流れ出す「生命のしずく」。
          一週間後にはどうなっているんだろう。
          人も木も切られれば血が出る。
          出血死か傷口が塞ぎ、やがて元に戻るのか。
          久々にたくましい嬉しいものに出会えた。
          後で、「ひとなめしとけばよかった。どんな味がしただろう。」と心残りだった。
          | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 08:33 | comments(0) | - | - |
          [127]2016年初踊り
          0
            私の敬愛する大好きな人、中島善由夫さん。



            ここ名古屋では2年に一度「丸栄美術画廊」で展覧会を行う。
            本拠地はスウェーデン。
            彼の美術館もある。

             

            彼の絵の前に立つとウレシクなる。
            命の火に点火されたように体の心(しん)がおどりだす。
            彼と会って話すだけでナニかもらえる。
            いつも話すだけで楽しくて満足していた。
            初日に会って絵を見てるうちおどりだしたくなり、楽日におどった。

              

            とても楽しかった。
            彼も私のおどりを祝福してくれた。
            たぶん月と太陽が戯れたみたいな感じ。

            私の心と体はおどりたがっているんだなと実感できた。
            2016年初めのパフォーマンス、最高でした。
            中島さん、ありがとう。

             
            | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 07:55 | comments(0) | - | - |
            [126]プチ冬眠
            0
              「原さん死んだかと思ってた。ブログずっと書いてないので。」
              とある人から言われて、「エッ!」っと目が覚めた。
              4ヶ月も書いてナイ…。
              公演前後2ヶ月位は脳が芝居作り仕様100%になってモノが書けなくなるのだが、
              今回はいつもと違って長く冬眠してしまった。

              今年で70歳になる。
              芝居始めて40年。
              毎年2作ずつ作り続けてきた。
              特にここ10年は、作・演出もやっているので、
              常時脳内が2年先の事を考え続けているのだ。
              スーパー一座で30年、ハラプロで10年。
              あとそんなに長くないぞ、今一度己をリセットしよ。
              ついては、脳と身体を〇から始動させようとプチ冬眠と決め込んだ。
              いつもなら年末の芝居(昨年はパンク歌舞伎「天守物語」)のパンフレットに、
              翌年のスケジュールを書くのだが、書かなかった。
              やりたい作品の破片は脳内でちらちら浮遊しているのだが、決めずに新年を迎えてみよう。
              そしたら何か見たこともナイ新しい事が起こるのではないか。
              などと甘い期待をしたにもかかわらず何も起こらず、
              変わらぬ日々…。

              少しだけいいことがあった。
              自分の予定を世間に告白しなくていいのはものすごく楽。
              その分、身体も脳も軽くなる。
              正直な自分が見えてくる。
              今まで長い間身につけてきたモノを今一度確かめてみたい、試してみたい。
              言葉では「百姓の身体」と言うが、私の身体が本当に百の姓も持っているのか。
              作品作りも〇からの発想を…。
              芝の上から始まった芝居。
              どんな風にして変わっていくんだろう…。
              興業形態はどんなだろう…。
              赤子のように無邪気にハイハイから始めよう、
              私よりずっと若い人達と共に。

              ケイコは2月より始まっている。
              週2日は身体の原点探し、歌舞伎の技術習得に。
              後週2日は新しい作品に向けて、合わせて週4日のケイコ。
              近々その様子も書いていきます。
              4ヶ月もブログを空けてしまってごめんなさい。
              私、原智彦、40年間フルマラソン走り続けてちょっとプチ冬眠、
              決して死んだわけではありません、御安心を。









              これからは若い人の成長と共に、私も演出力ばかりでなく、
              役者力も発揮したいし、踊りもお見せしたいと思っております。
              本年も「生身の人間のオモシロサ」楽しみ合いましょう。
              宜しくお願い致します。
              | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 18:29 | comments(0) | - | - |
              [125]マメに歩く
              0
                公演一ヶ月前、芝居作りで最もスリリングな期間に突入。
                ふわふわしたモヤが少しずつ晴れて、形が顕になってくる。
                紙面の文字から三次元の形になり、やがて無次元の心の交流が絡まり物語は始まる。
                不安と疑心暗鬼、迷走の一人旅。
                普段夢を見ない私だがよく夢で目覚めるようになる。
                芝居の夢である。
                あまり覚えていないが、こんな時はマメに歩く。
                神社やお寺でお参りをする。
                頭をスリスリするなどの頻度が増える。

                春、桜がやけにキレイだったけど、
                秋の黄、赤、茶と日々化物のように色変わりするのが私は好きだ。
                週一度の東山歩きや町の街路樹。
                歩いていて飽きない。
                人通りのほとんどない雨上がりの道は黒い土やアスファルトの上にことのほか鮮やかな色に浮かび上がる。
                リズミックな抽象画のよう。
                ホントキレイナモンオチトルナーって感じ。
                思わず携帯で写しました。

                  
                 
                | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 18:24 | comments(0) | - | - |
                [124]ポップな日本庭園
                0
                  先日、名古屋市博物館へ行った。
                  展示してあった横井庄一さんの服に嬉しくなって表へ出た所、
                  大きい日本庭園があり、モミジの葉が色づき始めていた。
                  でも何か変。異様な感じ。
                  近くへ寄るとこうだ。
                  緑と赤は補色、反対の色だ。
                  緑から赤へ直接色変わりしている。
                  普通は緑黄柿赤色へ変化する。
                  「秋の色変わりはこうです。」と脳はしつけられているので、
                  二色で変化する様は異と思えるのだろう。
                  それはそれで不思議な美しさ、深みのある美しさでもあった。

                  この庭は古いものではなく38年前、開館と同時にできた。
                  たぶん名のある人の作ではなく、庭職人の腕を存分にふるって作られたものと思われる。
                  ポップな日本庭園なのだ。
                  ダイナミックである。
                  日本庭園なのに日本「らしさ」がない。
                  観念や情念の起こるスキを与えない、アッケラカンとノー天気。
                  思考を止めさせポケーとなるしかないお庭だ。
                  だからポケーと日々過ごしたい私好みのお庭なのである。
                  庭のモミジの異様な日本離れした色模様もこの庭の風格にふさわしい。
                  昼の太陽を浴びたポップアートの世界と違って、
                  夕暮れの逆光のビルを背景にした庭はシュールな感じもした。

                  | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 18:14 | comments(0) | - | - |
                  [123]ゼロからの出発
                  0
                    感動した。美しい。モノスゴイ存在感。
                    私の一生のうち最もキレイな服だった。
                    動物はそれぞれに相応しい毛皮という服をまとっている。
                    それと同じような自然さで人体を包む服。

                    名古屋市博物館の企画展「ジャングルに潜んで28年 横井庄一さんのくらしの道具」(11月29日まで)
                    そこでこの服に会えます。



                    私がここ10年で最も感動した作品でした。
                    終戦後そのまま戦地グアム島で28年もの間隠れ続けた横井さんの、くらしの中で用いた道具のすべて。
                    人が生きる上で最小限必要なモノ。
                    その中でも私の目を引いたのが、自生するパゴの木の繊維で作った服。
                    洋裁職人の横井さんの心意気の込められた服。
                    糸を作り、機を作り、布を作り、ボタンを作り、洋服に仕立てる。
                    一着作るのに半年かかったという。彼が言うに、
                    「服ができてからよりも作っているときのほうが幸せだった。」と。(図録より)
                    時代の流れの中でいかに望まない状況に追いやられようとも、
                    人は一生「ものつくり」を生きがいとするのだなと思いました。
                    これこそ人本来の強さ、美しさと言えましょう。
                    たった一人で作り上げた服。
                    半袖半ズボンと、長袖長ズボン2着で暮らした横井さん。

                    館内で私はかなりの時間、服と対面していました。
                    何も無い時、人は自然の恵みのみで本当に必要なモノを生み出すんだな。
                    そしてそれは、見る者をも優しい気持ちにしてくれるんだな。
                    感じ入りました。
                    芝居作りで私の最も大切にしている「ゼロからの出発」。
                    改めて思い知らされました。

                    皆さんにもこの企画展をご覧になることを是非お薦めします。

                    人のまとうべき本物の服、心が温かくなりました。
                    勇気が湧きました。
                    目頭も熱くなりました。
                    久々の感動でした。
                    | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 17:56 | comments(0) | - | - |
                    [122]夜の公園
                    0
                      今日(11月2日)、ズボンの下にタイツを履いた。
                      皮膚が寒がっている。
                      いよいよ冬か。
                      身が締まる。

                      12月のパンク歌舞伎「天守物語」のケイコも佳境に入ってきた。
                      週4日の決められた日以外の自主的抜きゲイコ、先月より始まる。
                      白川公園か高架下のグランド、19時〜22時の3時間。
                      昼とは違う夜の公園。
                      木々に囲まれ街路灯の明かりだけが頼り。
                      立廻りの丸棒を各々自慢の筒袋に納め自転車でかけつける。
                      皆カッコイイ!!
                      私は大須に住んでいるので徒歩で片手に缶ビール。
                      年のせいか3時間寒空の下で声を張り上げて台詞のケイコを付けたり、
                      「ブンブンズサックルインスサーチョンチョンスパッ」と立廻りの刀の振り方を教えるのは少しつらい。
                      時々ぬるい缶ビールをすすり、身体にじわーっと活気を与えながらやる。
                      私はケイコのうち、この夜空自主ケイコが一番好きだ。
                      なんの気兼ねなく一対一でトコトン演れる。
                      つい大声も出る。
                      50mくらい離れて会話できれば自然と「声の力」がつくし、
                      スマートな「声の使い方」も訳なく身につく。
                      白川公園のグランドは広い。
                      刀片手に30cmくらい腰を沈め忍者走り、ザザザザザと砂埃。
                      本当は音がしたり砂埃など上げてはいけない。
                      本当はサササササと目立たぬよう美しく走らないといけない。
                      皆面白いほど死二ソーな顔して舌つきだしてゼーゼーやっている。

                      「体で覚える」「体で考える」
                      表現者とは体で語れる身体を持つ者。

                      夜の公園で汗流す人達。
                      淡い光の中で、
                      自分のために、自分だけの力で精一杯尽くす姿は美しい。
                      これこそ私の思う本当の舞台なのだ。

                      怪我なく全員で能楽堂の舞台までたどり着ける事を祈る。

                      | hara-art | 原智彦の「手前味噌」 | 09:00 | comments(0) | - | - |
                       123456
                      78910111213
                      14151617181920
                      21222324252627
                      28293031   
                      << October 2018 >>
                      + RECOMMEND
                      + SELECTED ENTRIES
                      + RECENT COMMENTS
                      + CATEGORIES
                      + ARCHIVES
                      + MOBILE
                      qrcode
                      + LINKS
                      + PROFILE