日々是々日記 原智彦の「手前味噌」

お芝居のこと、お祭りのこと、大須のこと、日々思う事をポツリポツリと書かせていただきます。
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[144]ダリ旅 vol.1
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    危なかった。

     

    先月一週間ほど「サルバドール・ダリ」に会いにスペインへ行ってきた。

    会うと言っても、もうこの世にイナイ人なので彼の住んでいた家と、

    彼自身の手による彼の美術館を訪ねた。

     

    若い頃は余り惹かれなかったダリだったが、

    昨年暮れ、東京国立新美術館の「ダリ展」を観て、

    彼を急に知りたくなった。

     

    本年2017年は、20年来の私のパフォーマンス「HAIKAI」を4本立て続けに行う。

    昨年11月、「さんせう太夫」が終わると同時に、

    今年の「HAIKAI」に向けてスイッチがパチっと入る。

    HAIKAI中、私の脳内はダリの絵にある溶けた時計みたいに、

    時間が「タラーーーーン」と伸びていく感じになる。

    現実がハガレ落ち、得体のしれぬ普段とは違う自分になる。

    それがダリの絵の中の人物のようなのだ。

     

    そういう訳で、急にダリに会いたくなり、

    地中海フランス国境近くのポルト・リガト、何もない入江に建つ、

    最愛の妻「ガラ」と暮らし仕事をした、

    たぶん最も幸せな時を過ごしたであろう、ダリの「脳内ジオラマ」みたいな家と、

     

    彼の生まれたカルダスの「ダリ劇場美術館」(1974年彼70歳の時開館)、

    かつて劇場だった、ダリ自身の手によって作られたダリ王国のような建物を訪れた。

     

    ピンポイントの目的でピンポイントの場所を訪れ、

    ダリに会えはしないけれど、「モノ作りのオモシロサ」「モノ作りに熱中する楽しさ」、

    ビシバシと伝わってきました。

    願わくば私もあんな風に芝居作りに挑みたいと思う。

    空の長旅は疲れたけど、

    「イイゾイイゾ、ワカルワカル、ソーダソーダ」の連続でした。

     

    あ、そうだ!

    文の最初に「危なかった」と書いた。

    今回の旅は格安にして「ダリゆかりの地を巡る7日間の旅」という、

    私にしては願ったり叶ったりの嬉しいツアーだったんだけど、

    その旅行会社が「テルミクラブ」。

    帰国して一週間後、ニュースで倒産を知ってビックリ。

    いいホテル、うまい食事、親切なガイドといたれりつくせりの良い旅だったので、

    なおさら「エッ!」だった。

    ひょっとしたら現地でオロオロする所だったかも知れぬ。

    ダリの脳内には迷い込みたいが、地球の反対側で迷うのは嬉しくない。

     

    ダリの旅は「危なかった」で終わり、ダリのイタズラだったのかも知れぬ。

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