日々是々日記 原智彦の「手前味噌」

お芝居のこと、お祭りのこと、大須のこと、日々思う事をポツリポツリと書かせていただきます。
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[142]ハト、ありがとう。
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    寒暖の差が激しい。

    「寒の戻り」なんて言葉、普段使わないがそんな言葉がぴったり。

    イヤな言葉ではない。

    すぐ先の春が手の届く事を疑わない心の余裕言わせるのだ。

    「そう簡単にゆるんじゃダメだぞ、まだまだ。」と頬を緩めて厳しい口元。

    先の明るいワクワク感、春を寿ぐ言葉なのだ。

     

    ここ数日庭先で異変が起きている。

    めったに来ないハトが来る。

    しかも菜っ葉や何かエサになりそうなものをついばむわけでもない。

    ナツメの木の先っぽ極細の小枝、春になれば全部落ちてしまう松葉くらいの枯れ枝をくわえて、

    くいっと首をひねり、もぎ取りついっと飛び去る。

    しばらくすると又来る。

    何度も繰り返す。

    近くで巣を作るつもりらしい。

    芽吹きや、蕾のふくらみではなく、ハトの巣作りで春先を感じることができる。

    少し感動した。

    話はこれで終わらない。

     

    一週間前、ハトがいつものように小枝をくわえ、ベランダの手すりをピョンピョン飛んで、

    飛び立つだろうなと思ったら、ピタッと止まったなり動かない。

    「あれっ…」

    一分。

    「ワカッタ。」

    道路を挟んだ向かいのビル、屋上の手すりにカラスが一匹、止まったまま動かない。

    こちらをうかがうかのよう。

    「ウウン、ナンダコレ。」

    両者そのまま。

    時間が止まる。

    私も止まる。

    ずいぶん長く息を忘れている。

    やがてカラスが何事もなかったかのようにピューとどこかへ、

    ハトもしばらくして飛び去る。

    止まったままの私も「ホッ。」息を吐く。

     

    そーか。

    随分前この庭で沈丁花の木の上にハトが巣を作り、

    その巣の卵をカラスが食べたことがあった。

    そーなんだ。

    巣は愛し合う「2匹の愛の巣」なんだ。

    だから巣作りをカラスに知られたら、その巣のありかを知られたら、

    それは卵を食べられちゃうことなんだ。

    あの2匹のじっとしてたあの「間」はまさに生死をかけた「間」だったのだ。

     

    スゴイものを見たぞ!

    あのハトはどれ位止まっている事ができるんだろう。

    私だったらどれ位…。

    うーん、時間の長さではなく、どれ位深く止まることができるんだろ。

    どれくらいあのハトの様に止まることができるんだろう。

     

    急に「役者、原智彦」が小さく見えました。

    「まだまだ演る事いっぱいだぞ」

    まだまだの自分に出会えました。

    ハト、ありがとう。

     

     

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